昨年、約1ヶ月間という私としては長い期間のポップアップストアを開催した時、商品数の用意も大変だったので、季節問わず少し前に作った商品のストックもたくさん出したのだけど、ラインナップの中の自分で刺繍したワンピースを見て、ああやっぱり手作業の時間がかかっていることがわかるものは並んだ時の主張が違うなと感じて、それはお客さんの反応を見ても実感できた。
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コロナ禍を迎えてうんぬん、という話を前回のコレクションの時に書いたのだけど、
今回は、じゃあ21年の夏はどうなっているのだろう?という気持ちと、何を作るべきなのだろう?ということをよく考える時期だったと思う。
ファッション誌や世界のメゾンのコレクションなどをみていると、当然同じような題材についてのデザイナーのインタビューやライターの言葉などを多く見かけて、(きっと今服飾の仕事ってかなりきついはずなんだけれど)それは私のように小さな規模で制作している者にも希望になるような、前向きなものばかりだった。
「世界中が様変わりしていつもとは違う気持ちで新しい季節を迎える」
「心から好きな服、そして本質的にいいものを選びたいという想いがこれまで以上に強くなっている」
「改めておしゃれにおける自分らしさや、一着に込められた物語を追う」
これはどこかで読んだものの抜き出しなのだけど、前に書いたクラフト性に対して思ったことと同時に考えることだった。どんどん買って、どんどん着るというスタンスではなくなっているのは実生活を考えても明らかで、そういうものを目指さなくてはいけないな、と改めて思わせてくれた。
出来上がったものは、新しい季節の遠歩きに似合う洋服たちになりました。
行きたいところに行けるようになること、そして自分らしい装いで人に会いに出かけられるようになることを願います。